第一話 『 SAKURA DROP IN 』


 まだまだつぼみの状態ではあるが、世間では桜の季節である。四月ということで、新年度、新学期も始まり、フレッシュマン達は新しい環境にゲティングアウトしていってると思う。
 一般的に言って、環境が変わるということは、大変なプレッシャーやストレスが伴うものである。その土地に慣れ、新しい人間関係を築き、またある人によっては言葉まで覚えなければならないものである。反面、そうやって心機一転、新しい社会や学校に飛び出していったものの、中には、その環境に順応できずにドロップアウトしていく人がいるのも事実だ。

 こういう事って非常にサーフィンに似てると思う。
 サーファーであれば誰でもそうだと思うが、サーファーは常に、自分にとって新しく、良い波を探し求めているもので、例えば、いつものホームブレイクのとなりのビーチへ行ってみたり、それこそ全く言葉の通じない外国のブレイクを目指したりと、いつも新しい環境に身をおいているといえる。(仮に自分のホームブレイクでしかサーフィンしない人でも、その日のコンディションによっては、ため息がでるほどの良い波だったり、泣きたくなるようなオンショアだったりと、毎回毎回違う環境でサーフィンしてると思う)
 人間関係もまたしかり。よそのポイントではそこのローカルがいるだろうし、自分のホームでも見ず知らずのビジターが訪れる訳で、上手にコミュニケーションをとっていかないと、楽しくサーフィンすることが出来なくなってしまう。

 そんな風に考えて周りのサーファーを見てみると、うまいサーファーや旅慣れたサーファーというのは、まず間違いなく社交的で、フランクな人が多い事に気付く。だいたいがヘタクソに限って、ニコリともしないムッツリな奴が多い。
 やっぱり海でも陸でも基本はいっしょ、新しい環境に慣れる為の最高のコミュニケーションツールは、ビッグスマイルで挨拶すること。これしか無いと思うよホント。逆に、これさえあれば意外と何とかなるものなので、フレッシュマンの皆さんも是非実践してみてください。

 あの桜のつぼみ達が満開に咲き乱れる頃には、多少は世界が平和になってれば良いなぁと思う。   

2003年4月4日 SS